コラム 世界の食事情オーストラリア編

12月になると巷ではクリスマス料理を何にするかという会話がよくもたれます。オーストラリアには移民が多く、移民は世界各地からの出身なので、信じる宗教も多様です。それでもオーストラリアの国教はキリスト教なので、25日のクリスマス、26日のボクシングデイは国民の休日です。宗教は違っても、信じる宗教があっても無くても、これを機に家族と美味しい料理を分かち合って過ごすというのが、主流なようです。オーストラリアのクリスマスは日本のお正月のようなものです。ところが違っても家族と過ごす時間に、美味しい料理が引き立て役になるのは、共通のようです。

 

クリスマスに何を食べるか、というのは、各家庭によって違うものですが、定番もあります。オーストラリア人はバーベキューが大好きです。公共の公園や、海岸沿いの公共の場所には、しばしば無料のバーベキュースタンドが設置してあります。それに、家庭用バーベキュースタンドを一家に一台持っている例がほとんどです。ソーセージや、牛ステーキ、羊のチョップスを焼いたり、海鮮ではバナナエビを丸焼きにしたりします。料理法はとてもシンプルですが、野外で、皆で楽しみながら調理すると美味しさが格段違うのだそうです。

 

その他にも、屋内料理では、クリスマス定番のロースト料理も逃せません。肉の選択はそれぞれですが、人気なのは、牛肉、羊肉、鶏肉で、時々ダックや、クエルの丸焼きを見かけることもあります。ロースト料理はよく、根菜類(ジャガイモ、人参、ビートルートなど)や、タマネギ、カプシカムなどの色とりどりの野菜と一緒にいただきます。

 

日本では子供のころのクリスマスにはサンタの形をした砂糖菓子の乗ったケーキをを思い出しますが、オーストラリア人からは(特にイギリスからの移民の人たちは)ミンスパイ、クリスマスプディング、トライフル、パバロバを食べるのが楽しみだったと聞きます。ミンスパイ、クリスマスプディング、トライフルはヨーロッパでも定番ですが、パバロバはオーストラリア(とニュージーランド)独特のお菓子です。パバロバは焼きメレンゲの上にホイップ生クリームと果物を飾ったお菓子で、胃に重たい傾向のあるクリスマス料理の後に食べるには最適のデザートのようです。

(今井雅浩)