グルメ 昔のなにわを今に残す伝統の「大阪ずし」は食べるべきか?

江戸前寿司 大阪の伝統食文化「大阪ずし」って知っていますか?大阪に行く用事があったのでちょっと食べてきました。

お寿司を食べに行こうと話をしたら想像するのは、たいてい写真のようなものを想像しますよね。

しかし、これは東京・江戸で生まれた「江戸前寿司」ですが、大阪に伝わる前には「大阪ずし」と呼ばれる違ったお寿司がすでにありました。

大阪名物・グルメといえば、タコ焼きやお好み焼きなどに注目が集まりがちですが、今回はちょっと地味ですが興味深い、「大阪ずし」を味わいに、大阪の老舗のお寿司屋さんの「寿し寅」さんに行ってきました。

「大阪ずし」とはどんな寿司か

目次

箱寿司・押しずし そもそもお寿司は、滋賀県の名物となっている「鮒ずし」のような魚と米飯を合わせて乳酸発酵させた「馴れずし」から始まり、酢を使った寿司へと保存食からファーストフードへと進化してきた歴史があります。

「江戸前寿司」として江戸で流行し、大きく発展し今日のお寿司になっています。文政時代(大体1800年代初めごろ)に江戸から入ってきて大阪でも「江戸前寿司」が食べられるようになりました。

それ以前は、大阪ではすしといえば、箱ずし・押しずしだったのです。大阪では、鯖寿司の箱ずし、押しずしを「ばってら」と呼びますがこれも「大阪ずし」の一つといえます。

老舗 大阪桜川「寿し寅」さんの大阪ずし

寿し寅の大阪ずし大阪みなみ、難波から地下鉄千日前線東へ一駅の桜川の「寿し寅」へ行ってきました。この「寿し寅」は、創業が日露戦争のころという大阪の老舗。今のお店は戦後に移転してきたときだそうですが、周りがどんどん変わっていく中でその当時の面影が残るなつかしさのある店構えです。

中に入るとメニューを出していただきました。価格が書いてなかったのが少し気になりましたが、今回はもちろん「大阪ずし」を注文しました。他には、冬におすすめの「蒸ずし」というのもあり気になりました。具だくさんの茶わん蒸しも看板商品のようです。出来上がりには20分ぐらいかかるとのことでしたが、寒い冬にはおすすめです。

さて「大阪ずし」は、焼きアナゴとエビ、酢漬けタイの3種類。ご飯の間にはシイタケなどを煮たものが挟んであります。決して派手な材料ではありませんが、三種類が並んだ姿には控えめな華やかさがあります。派手に盛り付けた海鮮丼が持て囃される今、素朴さがむしろ新鮮に感じます。昔は、繁華街に出前をしたり持ち帰りが中心だったそうで、昔のナニワのお父さんがお土産にこの「大阪ずし」を持って帰る様子が浮かぶようです。

最近の子供は酢を好まないため、回転ずしも酢飯がほぼおにぎり?かと思うぐらいのものが多くなりましたが、寿し寅さんの「大阪ずし」はしっかりと酢が効いています。酢飯の間には刻んだシイタケなどを甘じょっぱく煮たものが挟まっているのでお醤油やわさびを使わなくてもおいしくいただけます。一見シンプルな食べ物ですが、もっちりとして酢の効いた酢飯と上にのっているネタ、間に入っている具の味の調和だけでなく、アナゴ、エビ、鯛の三種類の最後まで飽きさせない味の調和は計算されつくされた感のある完成度は食べる前に想像していた以上でした。いつもと違う歴史ある大阪の味、今では食べられる機会が少なくなってきた「大阪ずし」は、大阪旅行の時にぜひ食べていただきたいナニワの味だといえるでしょう。

 

伝統の「大阪ずし」の作り方を見せてもらいました。

寿し寅 三代目店主 三代目で85歳になられる寿し寅の大将に伝統の「大阪ずし」を作るところを見せていただきました。

ロの字の木型に上下ふたのようなものを合わせて押しずしの木型です。

木型をセットしたら経木を敷き酢飯、具、酢飯、ネタの順番で入れて、上から体重をかけて押します。

小気味よくくるっと何回か回転させつつギュギュッと押して完成です。木枠から外してあとは食べやすいサイズに包丁を入れてお皿に乗せて完成です。

一人前を作るのに3回この作業を行います。もし、何人前もの注文が入れば、この作業を何回行わないかと考えると大変な作業です。箱ずしの形に変形した大将の手に歴史を感じます。

作るときの映像もとらせていただきました。

(今井雅浩)

店舗情報 「寿し寅」

難波から千日前線で東へ1駅「桜川駅」下車すぐ。交差点の角にあります。

平日は、11時から20時まで、土曜日は15時まで、日・祝はお休み。

大阪市浪速区桜川2-3-1

メニュー:大阪ずし 1,800円 (税込)支払は現金のみ

(2019年11月29日現在の情報です。)